澤井のどうでもいい話3

 

澤井が髪もカメラもさせてもらいました。

可愛く撮れてよかったです。

 

季節外れの花火の話

 

 

PLの花火はとにかくすごく、とくに最後のナイアガラというやつが、とてもゴージャスです。

 

一度見たことのある私は、ドヤという顔すなわち、ドヤ顔でその花火のすごさを必死に伝えながら、奥様と可愛い息子を連れ地下鉄に乗り込みました。

 

今考えると、『あんたが、花火あげてんのちゃうで』と言われてもおかしくないくらい、ドヤという顔、すなわちドヤ顔をしていました。

 

花火ボルテージマックスの私は、もう待ちきれません。

早くつきすぎた私の足下には、花火見学のレベルを超えるビールの缶が転がっています。

 

缶を拾い集める奥様に始まるからこっち見ときと、私はあがる方向を指差し時計をちらちら、もう落ち着きません。

 

まだ赤ちゃんの息子のほっぺたをぷにぷにしていると、ドン!という音が響きました。

 

いそいで、音の方に目をやるときれいな花火が建物の間から大きく空にひろがっています。

 

 

昔の映画であった違う角度から見たらとか、そんなことは気にならないくらいの感動です。

 

もうそろそろ、フィナーレです。

これを見に来たといっても過言ではないくらい楽しみにしています。

 

しかし、なぜか、ちらほら帰る人が目立ちます。

これは、電車が混む前に帰り始めて、フィナーレは歩きながら見物パターン。

素人によくある行動パターン。

一回しかきたことがない私は、ドヤという顔、すなわちドヤ顔をさんざん奥様にしています。

玄人らしく行動しなくては、これからの夫婦生活の力関係に関わります。

 

5分たってもフィナーレが始まらない不安を奥様は私に伝えます。

もしかしたら、終わりちゃうの?と、まさかの発言まで飛び出します。

自信満々の私は、準備してるし待ったげて。

今にすごいのあがるしと。

 

『もうどれくらい時間が流れたのだろう』

 

奥様は、まだ自信満々な顔をしている私があがるまでそこを動かないことは誰よりも知っています。

 

『歩きながらあがんの待とか』

自信が不安にかわり始めている私は、

『絶対あがるし、あがったらお小遣い1000円ちょうだいや』

と訳の分からん台詞とともに、重い腰をあげました。

 

花火があがる方向に背中を向け、ちらちら後ろを気にしながら、絶対あがるしと、ぶつぶつ言いながらベビーカーを押しています。

小さな曲がり角を、曲がり少し歩くと後ろから

ピカ!!ピカ!!ピカ!!と三回光りました。

 

私は、これ以上ない大きな声で

『ほれ!!あがった!!』

と、大きな声で振り返りました。

 

すると、電気をつけた自転車に乗ったおばさま三人が、私の声にびっくりして、よろっとしながら、走り去って行きました。

 

おばさま三人を全力で驚かせたおっさんに、奥様は1000円ちょうだいなと言いました。

 

おしまい

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