澤井のどうでもいい話52

ほっかほっかなんとかという弁当屋さんにいきました。

あまり行き慣れていない私は緊張しながら『ほんけえ かまどやーあー♪』と間違った歌をうたいながら自転車を止めました。

お昼時ということもあり、中は長い列です。おそらく注文した人が受け取りを待っているのです。

私は、唐揚げのお弁当の写真を指差し、メニューの名前を読み上げました。

私も、またその列にまぎれこみました。

すると、全力でイキったサラリーマンらしき人が派入ってきました。完全にお弁当を知り尽くしたかのようなドアの開け方。それに、首からぶらさげた社員証みたいなやつを指でカチカチならしながら、前の注文しているおじさまをせかしています。

おじさまの注文が終わり、ほっかほっか玄人のサラリーマンは『特、唐、5、大盛り』と、特から揚げ弁当5個入大盛りを中のおばさまに注文しました。

これは完全に素人の注文の仕方ではありません。私も、何回も何回もここに通って、こういう風に注文してみんなの視線を独り占めしたい。そう思い彼に熱いあこがれの視線を向けました。

すると、中のおばさまは、『え!おにいちゃん、なんて??』と聞き直しました。

サラリーマンは『特、唐、5、大盛り』と、さっきよりも大きな声で言いました。

おばさまは怒ったように『だから、なんて??』

 

カチカチしていた社員証を胸のポケットにしまいながら『特から揚げ弁当5個入ください』と小さい声でサラリーマンのひとが言い直しました。

 

おしまい。