前回のつづきじゃないよ。
澤井祐樹
東京に行ったときのお話。
私はタクシーを止め、後部座席に腰をおろし、大きくため息をつきました。
ため息は幸せが逃げていくと誰かが言っていたのを思い出し私は即座にこれはため息ではなく、深呼吸なのだと自分に言い訳をしました。
ホテルにつくとアルコールの匂いを隠すように、フロントでペンを取りました。
字はきれいな方ではありません。
むしろ汚い方と言った方がわかりやすいかもしれません。
二十二時。
私は熱いシャワーを浴びながら、今からの時間の使い方について考えました。
備え付けのキシキシになるシャンプーの罠をくぐりぬけ、コタのトラベル用をあけました。
泡の細かさに感心しながら、シャワーを出ました。
映画でも見ようと私はリモコンを手に取りました。
画面には有料なので、カードをお買い求め下さいと出ています。
つづく