後編
澤井祐樹
天丼ではなく、マクドナルドを食べた私たちは、混み合っている店内を後に、ユニクロに向かいました。
平日のユニクロはすいていて、とても買い物しやすいです。平日休みの特権です。
今日のお礼にと、母やすこは私に、パンティーと靴下をプレゼントすると言ってくれました。
下着売り場に直行した私はちは、ああでもないこうでもないと、パンティー選びに夢中です。
京都府南部のガリレオと呼ばれた私は、ふと、我に返り、今の状況を整理してみました。
平日に、35歳のひげはやした大人が、お母さんに下着と靴下を買ってもらっている。
そうです。まさに、それです。
レジのお姉さんに、それと思われないようにしなくてはなりません。
お会計時には、遠く離れて待っていれば、お姉さんにそれとは思われないはず。
私は母やすこから距離をとり、お姉さんをじっと見つめています。
かごに入れられた靴下をお姉さんはテキパキと数えています。
すると、お姉さんは手を止め母やすこに何か話しています。
もしかすると、私を、それだと気づいてしまったのかもしれません。 essay-it.com
いや、そんなはずはありません。気配を消した私をスカウターなしで、感じることは不可能です。
母やすこは大きな声で、『祐樹!!靴下もう一個持ってきて!!セットやねんて!!』と呼びました。
私は開き直り、働いたら負けやで的な顔で、靴下を母やすこに渡しました。
おわり