meloチーフスタイリストの三浦がアイドル白野楓子ちゃんのヘアメイクに行ってきました。
握手してもらうため、私もついて行けばよかったです。
つづき
澤井祐樹
問診票を書き終えた私は、美女の視線に応えるため、カッコつけ続けなくてはなりません。
鞄から分厚い本をとりだし、出来る限りのカッコをつけて、問診票を取りに来てくれるのを待ちました。
しばらくして問診票をとりに彼女はやってきました。
周りに2人、先に来ていた人もいるので、恥ずかしいのか、業務的に私から問診票を受け取りました。
先に来ていたうちの一人が呼ばれ、診察室に入って行きました。
ばたんと扉が閉まり、ドアにはポスターが貼ってあり私は目を疑いました。
視力検査のようなポスターは歯医者さんに貼ることは、私の経験上ありません。
冷たくなった指先で私は分厚い本のページをめくり続けています。
このまま、名前を呼ばれ診察室に入ってしまうと、⒉0以上のポテンシャルを持つ私はどんなちっちゃいcのマークも言い当ててしまいます。わざと、気を使って見にくいフリをするべきか。
それとも、今、カッコ付け続けている美女に対して、保険証を返してもらい、別れを告げるべきか。
また一人、診察室に吸い込まれて行きます。
もう、残された時間はありません。
私は勇気をだし彼女のもとに向かいました。
『歯いたいんですけど。』
『??』
緊張からか、一番伝えたい保険証を返してくださいという言葉がでてきません。
早くこの気持ちを伝えなければ、診察室に吸い込まれて行きます。
『保険証返してください。』
無事保険証の奪還に成功した私は、急いで眼科の外に飛び出しました。
少し私の決断が遅ければ、大変なことになっていました。
もう二度と、彼女に会うことはないでしょう。
思い出をありがとう。
おしまい